おはようございます。
本日は、昨年の今頃にやりました現場ですが、海岸線の横にある某海釣り施設の事務所棟の改修工事の時のお話です。
2019年の台風15号にやられてしまい、再起不能状態となっておりました。
が、日本の技術力の凄さですね。護岸の補強工事含め一年くらいで元通り!!!!
その時感じた、既存防水層の不具合から、メーカー設計の不備など含め色々話そうかと思います。
Fig.1 施工前の施設全景
まず元請さん落札後(工事着工時)、現場調査の為に現場屋上に上がりましたが、既存防水層の耐風圧計算が全然なっていないのに驚きました。
尚、その時の防水元請である社長さんが『いやー、40年ぶりくらいにこの現場にあがるわぁ~(笑)。新築の時おれが塩ビシート防水密着工法でやったんだけどさぁ(笑)』と・・・・・
Fig.2 施工前の屋上
まず、1回改修されているようで、塩ビシート防水の機械的固定工法(先付け工法)にて改修されておりました。しかし、固定ディスク部の塩ビシートは、ほぼ全て破断又は剥離しており、外周部の塩ビ鋼板で固定されている状況でした。よく2019年の台風15号の時に防水層も飛ばなかったなと感心しました。
このような状況になった原因としては、強風エリアと言われる『地表面粗度区分がⅠ区分』なのに、都市部の通常の建物レベルの固定ディスクしか打ち込まれていなかった!!ということであろう。そう、600mm×600mmピッチの外周3列全打ちの都市部低層仕様しか固定されていませんでした。
※地表面粗度とは、建築基準法で定められている地域市街化の状況に応じて4段階に分かれております
それなのに、某メーカーさんの設計仕様では、このボロボロの穴だらけで耐風圧強度が全く無い状況なのに、ただのウレタン塗膜防水密着工法を増塗りでOK!!!な仕様を組んでおりました。即効で防水元請さんの社長さんと二人で、元請さんの現場監督さんに『設計仕様のままでは施工は完全に無理です!!』と、言いました。穴だらけなので防水は不可能ですし、固定ディスクが全く機能していませんので、耐風圧性も全くありません。
色々喧々囂々ありましたが、我々の思惑通りの仕様にて提案が可能となりました。その仕様とは
塩ビ機械的固定工法(後付け工法) シート厚2mm
ロンシール工業㈱製
LA-210US工法(絶縁緩衝シートは厚2mm仕様)
※固定ディスクは短ピッチの全打ち仕様
にて提案しました。
このロンシール工業㈱製のUS工法(後付け工法)は、ちゃんと施工すればもの凄く強風に耐えられる工法となります。
しかも、現場監督さんから、側面の斜屋根部(軒先)も塩ビでそのまま施工できる??との質問が来ましたが、通常では無理なのですが、『弊社職人の技術力』と『わたくしの特注塩ビ鋼板製作力』を合わせれば難なく可能でした。
さて、下記に施工写真を載せていきます。
Fig.3 軒先の施工前状況
Fig.4 軒先の鋼板類取付状況
Fig.5 軒先の塩ビシート敷設状況
Fig.6 軒先の塩ビシート敷設状況
Fig.7 軒先の塩ビシート敷設状況
Fig.8 軒先の塩ビシート固定ディスへの誘導加熱処理
この軒先の施工が一番難しかったです。職人さんから下地が腐って無い!!とか、補強が何度も入っていてテックスビスが入らない!!とか色々言いながらやっておりました(笑)。しかも、ここだけUD工法(先付け工法)なのでチョットだけ色々心配なことがあります(笑)。
さて、軒先は以上でここから平場へ突入です。
状況としましては、絶縁緩衝シートを敷設後、塩ビ防水シートも敷設完了後のディスク取付状況からです。
Fig.10のエポキシ注入強化剤充填ですが、こちらはロンシール工業㈱だけ使用しているのですが、2004年台風18号??が風台風で、ロンシール工業㈱を除く多くの塩ビシート防水メーカーさんの防水層が飛散してしまい、一時塩ビシート防水はダメだという声も聞こえてきました。
が、ロンシール工業㈱だけはオフィシャルで一件も飛散をさせていないのです。その違いは、エポキシ注入強化剤を充填しているかいないかの違いではないかと考えられております。
※もう一つ理由はあるのですが、パテントの関係がありますので・・・・
Fig.9 補強用シートSを溶融着固定
Fig.10 エポキシ注入強化剤を充填
Fig.11 固定ディスク設置
Fig.12 固定ディスク固定完了
Fig.13 固定ディスクと補強用シートLを溶融着固定
Fig.14 補強用シートLを溶融着固定
Fig.15 補強用シートLを溶融着固定
Fig.16 補強用シートLを溶融着固定
Fig.17 補強用シートLを溶融着固定
Fig.18 補強用シートLを溶融着固定
Fig.19 補強用シートLの溶融着不備是正
Fig.20 固定ディスク(USディスク)取付完了
上記写真を見てわかる通り、通常は750mm×600mmピッチの外周3列のみ全打ちが基本なのですが、
・600mm×450mmピッチ
・全部全打ち
にて施工しております。
何故か!!! そう、風が強いからです。
耐風圧計算では、600mm×450mmピッチの外周2列のみ全打ちで良かったのですが、目の前が東京湾では風が強いので念のために全部全打ちとしました。
Fig.21 施工中状況
上記『Fig.21』の様に、平場の施工は半分半分ずつ施工したのですが、施工中風が強くて軽く風速10m/s以上ある状況が多々ありました。そのような時、未施工部の既存防水シートは風にあおられバタついておりましたが(フラッタリングが発生)、新規防水層施工部はびくともしておりませんでした。
下記に完成写真を掲載します。
Fig.22 軒先完成
Fig.23 軒先完成
Fig.24 平場施工完了
Fig.25 平場施工完了
Fig.26 施工完了(全景)
この現場は、見た目も綺麗ですし、耐風圧性能も良好です。珠玉の仕上がりとなった現場です。